自動火災報知設備の点検・修理

感知器が火災の熱や煙をとらえ、受信機へ信号を送り、建物全体にベルやサイレンで知らせる設備です。発見の遅れがそのまま被害の大きさにつながるため、消防用設備のなかでも特に指摘の多い設備でもあります。感知器は天井に数十から数百個あり、そのうち1つが動かなければ、その範囲の火災は検知できません。

現場での呼び方:自火報 / 自動火災報知機 / 火災報知設備

点検の義務と頻度

根拠
消防法第17条の3の3
点検の頻度
機器点検:6か月に1回総合点検:1年に1回
報告
特定防火対象物(飲食店・物販店・ホテル・病院など不特定多数が出入りする建物)は1年に1回、非特定防火対象物(事務所・工場・倉庫など)は3年に1回、消防長または消防署長へ報告します。
点検する人
延べ面積1,000㎡以上の特定防火対象物などは、消防設備士または消防設備点検資格者による点検が必要です。それ以外は関係者による点検も認められていますが、試験器具と報告書の作成が必要になります。
点検の頻度や報告の要否は、建物の用途・規模・収容人員によって変わります。実際の適用は所轄の消防署、または点検業者にご確認ください。

自動火災報知設備を構成する機器

どの部分が不調なのかを伝えられると、見積もりの精度が上がります。

機器役割
受信機感知器からの信号を受け、火災の発生場所を表示して警報を鳴らす中枢。小規模建物向けのP型、大規模建物向けのR型がある
感知器熱・煙・炎を検知する。温度の上昇率で働く差動式、一定の温度で働く定温式、煙を検知する光電式を、場所の環境に応じて使い分ける
発信機火災を見つけた人が押して知らせる押しボタン。表示灯とセットで設置する
地区音響装置各階に設置するベルやサイレン。区画ごとに鳴らす範囲が決まっている
中継器感知器と受信機のあいだで信号を中継する。R型では系統ごとに設置する
予備電源停電時にも受信機を動かすための蓄電池

点検で確認する項目

受信機

  • 電圧の測定
  • 火災表示試験
  • 注意表示試験
  • 回路導通試験
  • 同時作動試験
  • 予備電源試験

感知器

  • 変形・腐食・汚れ・塗装の付着
  • 加熱試験器・加煙試験器による作動確認
  • 感知区域と設置位置の適合

発信機・表示灯

  • 押しボタンの作動
  • 保護板の破損
  • 表示灯の点灯と視認性

地区音響装置

  • 鳴動の有無と音量
  • 鳴動する階と受信機の表示の一致

配線

  • 断線の有無
  • 絶縁抵抗の測定
  • 端子のゆるみ

よくある不具合と対応

症状考えられる原因対応
点検で感知器が作動しない経年劣化、内部へのホコリや虫の侵入、感度の低下該当する感知器を交換します。同時期に設置したものは他も劣化していることが多く、まとめて交換したほうが割安になります
受信機に断線表示が出る配線の劣化や断線、端子のゆるみ、改装工事での切断回路導通試験で断線箇所を特定し、配線を補修または引き直します
誤報が繰り返し起きる感知器の汚れ、湿気、厨房の蒸気や粉じん、設置場所と感知器の種別が合っていない清掃のうえ、環境に合った種別(定温式・防水型など)へ交換するか、設置位置を見直します
停電時に受信機が落ちる予備電源の蓄電池の寿命蓄電池を交換します。4〜5年で寿命を迎えるため、点検のたびに状態を確認します
改装した区画でベルが鳴らない間仕切りの変更で警戒区域と実際の部屋割りがずれている感知器の増設・移設と、受信機の警戒区域の見直しが必要です

交換・更新の目安

点検で不良と判定される前に、計画的に交換したほうが結果的に安く済むことが多い部分です。

部位目安
感知器メーカーは設置後おおむね10年での交換を推奨しています。点検で作動していても、古いものから順に交換を検討します
受信機おおむね設置後15〜20年。補修部品の保有期間を過ぎると修理できなくなるため、その前に更新を計画します
予備電源(蓄電池)4〜5年が目安。受信機本体より先に寿命が来ます
記載の年数はメーカーや設置環境によって変わる一般的な目安です。実際の判断は点検結果にもとづきます。

費用が変わる要因

  • 感知器の個数。延べ面積と部屋の数でほぼ決まります
  • 受信機の種別(P型・R型)と回線数
  • 階数と、テナントへの立入調整にかかる手間
  • 夜間・休日など、営業時間外の作業を求めるかどうか
  • 不具合が見つかった場合の部品代・改修費は点検費用とは別です

実際に提示された見積金額から集計した相場は、 費用相場のページで公開しています。

よくある質問

Q. 点検でベルが鳴りますか。テナントへの告知は必要ですか

A. 音響装置の鳴動試験を行うため、事前の告知をおすすめします。主音響のみ鳴らす、時間帯を選ぶといった配慮ができる業者がほとんどです。

Q. 点検を自分たちで行うことはできますか

A. 一定規模未満の建物では関係者による点検も認められています。ただし加熱試験器・加煙試験器などの器具と、定められた様式での報告書作成が必要になるため、実務上は業者へ依頼するのが一般的です。

Q. 感知器が1つ不良でした。すぐ直す必要がありますか

A. 感知器は1つでも作動しなければ、その感知区域の火災を検知できません。不良と判定された場合は早めの交換をおすすめします。

Q. 報告を出さないとどうなりますか

A. 消防法では、点検結果の報告をしない場合や虚偽の報告をした場合の罰則が定められています。立入検査で指摘を受けることもあります。

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