防火扉の点検・修理
火災時に閉じて炎と煙の広がりを止める扉です。常に閉まっている常時閉鎖式と、普段は開いていて火災時に閉じる随時閉鎖式があります。扉をくさびや荷物で開けたまま固定してしまう例が多く、その状態では区画としてまったく機能しません。
現場での呼び方:防火扉 / 防火戸 / 常時閉鎖式防火扉 / 随時閉鎖式防火扉
点検の義務と頻度
- 根拠
- 建築基準法第12条第3項(防火設備定期検査)
- 点検の頻度
- おおむね1年に1回(特定行政庁が定める間隔)
- 報告
- 検査結果を特定行政庁へ報告します。常時閉鎖式で構造上一定の要件を満たすものは対象外となる場合があります。
- 点検する人
- 防火設備検査員、または一級・二級建築士が検査します。
点検の頻度や報告の要否は、建物の用途・規模・収容人員によって変わります。実際の適用は所轄の消防署、または点検業者にご確認ください。
防火扉を構成する機器
どの部分が不調なのかを伝えられると、見積もりの精度が上がります。
| 機器 | 役割 |
|---|---|
| 扉本体・枠 | 区画を仕切る。反りや建付けの狂いがあると全閉しない |
| ドアクローザー | 扉を自動で閉じる。閉じ速度の調整もここで行う |
| レリーズ(電磁ドアホルダー) | 随時閉鎖式で扉を開いた状態に保持し、火災信号で解放する |
| 煙感知器 | レリーズを解放する信号を出す |
| ラッチ・戸当たり | 閉じた状態を保持する。ラッチが掛からないと隙間が残る |
点検で確認する項目
閉鎖
- 自閉するか、最後まで閉じ切るか
- ラッチが確実に掛かるか
- 閉じ速度が速すぎないか
- 枠との隙間
連動
- 煙感知器の作動によるレリーズの解放
- 解放後の自閉
- 連動制御器の表示と予備電源
外観・建付け
- 扉の反り・変形・腐食
- 丁番のがたつき
- 床の敷居や絨毯との干渉
周辺
- 閉鎖を妨げる物品の有無
- くさびやストッパーによる固定の有無
よくある不具合と対応
| 症状 | 考えられる原因 | 対応 |
|---|---|---|
| くさびや消火器で開けたまま固定されている | 風通し、動線の都合、日常的な運用 | 検査での指摘対象です。開けておきたい場合は、随時閉鎖式(レリーズ付き)への改修を検討します |
| 最後まで閉まらず数センチ開いたままになる | ドアクローザーの劣化、扉の反り、丁番のがたつき | クローザーの調整または交換、建付けの調整を行います。隙間があると煙が通ります |
| ラッチが掛からない | 枠のゆがみ、ラッチ受けのずれ | 受け座の位置を調整します |
| レリーズが解放されない | 電磁装置の故障、配線不良、感知器の不良 | レリーズと連動系統を点検し、部品を交換します |
| 閉じるときの勢いが強く危険 | ドアクローザーの調整不良 | 閉じ速度を調整します。特に高齢者や子どもが通る場所では重要です |
交換・更新の目安
点検で不良と判定される前に、計画的に交換したほうが結果的に安く済むことが多い部分です。
| 部位 | 目安 |
|---|---|
| ドアクローザー | おおむね10〜15年。油漏れが見られたら交換時期です |
| レリーズ | おおむね15年前後 |
| 扉本体 | 反りや腐食が進んだ場合。枠ごとの交換になることがあります |
記載の年数はメーカーや設置環境によって変わる一般的な目安です。実際の判断は点検結果にもとづきます。
費用が変わる要因
- 扉の枚数と設置階
- 常時閉鎖式か随時閉鎖式か(随時閉鎖式は連動系統の確認が加わります)
- 調整で済むか、部品交換が必要か
- 報告書の作成範囲
実際に提示された見積金額から集計した相場は、 費用相場のページで公開しています。
よくある質問
Q. 防火扉を開けたままにしたいのですが
A. 常時閉鎖式のまま固定することはできません。開けておく必要がある場合は、火災信号で自動的に閉じる随時閉鎖式へ改修する方法があります。
Q. 重くて開けにくいのですが調整できますか
A. ドアクローザーの調整である程度は改善できます。ただし閉鎖力を弱めすぎると閉じ切らなくなるため、専門業者の調整が必要です。
Q. 検査の対象になるか分かりません
A. 常時閉鎖式で一定の要件を満たすものは対象外になる場合があります。特定行政庁が対象建築物を指定しているため、所在地の窓口か業者にご確認ください。
